介護士や看護師の有給休暇取得を阻害する要因

介護士や看護師が有給休暇を取りにくいと言われている一番の原因は、業務の忙しさではないでしょうか。シフトをぎりぎりの人数で組んでいる病院やクリニックでは、人員に余裕がないため、職場全体が有給休暇をあまり取得できずにいることが少なくありません。したがって、有給休暇の取得を申請しにくい雰囲気が出来上がっているようです。また、有給休暇を取りやすい病院でも、ベテランや子供がいる人が優先されるため、若い独身看護師は休みにくいという声もあります。さらに、本来有給休暇を申請する際には、理由を述べる必要はありませんが、申請時に理由を聞く職場も多く、やむを得ない理由以外は有給休暇を取りにくい風潮になっているのが現状です。

しかも、有給休暇の消化率が悪い隠れた理由として、シフト制のため、用事があっても夜勤の前や夜勤明けを利用するように促されるということもあるようです。そのため、有給休暇を申請して嫌な気持ちになるくらいなら、無理をして取得しなくても良いという看護師も多いと言われています。ですから、有給休暇が付与されていても、それを使ってないという看護師は珍しくないのです。

ただし、2019年からは、年間10日以上の有給休暇が付与された場合、基準日から1年以内に最低5日の有給休暇を消化することが義務付けられました。これによって、看護師の有給休暇取得率もいくらか増えましたが、中には、シフト調整で無理やり有休をあてられているという残念な事例も起こっています。一昔前に比べれば、法改正によって介護士や看護師も有給休暇は取りやすくなったもしれませんが、一般的な企業に比べるとまだまだ有給休暇の消化は適性とはいえないのが実情です。